私の料理のルーツは「おままごと」です。
小さい頃から山の奥の小さな村で育った私は、いつも野山を駆け回って遊んでいました。
山の中では子供のための「おままごと」の食材には事欠きませんでした。
春にはスカンポや蕨、ゼンマイ、土筆など雑草から野草、秋にはいろいろな木の実がいっぱいあって、それらを食材に見立てて遊んでいました。
大好きな祖母がいつも作ってくれた田舎の料理と、それを料理する祖母の姿をまねしながら。
「おままごと」では野菜をたっぷり使っていましたが、一方で私はお菓子が大好きで野菜の大嫌いな子供でもありました。
食べるものがよくなかったのか体力もなく疲れやすく、いろいろ病気もしました。
あるとき自分の買い物カゴの中身を見てみると野菜が全然ないことに気が付きました。
そんな私がノートカフェを始めてお客様に何かをお出しさせていただく立場になって、来ていただいた方に喜ばれるものをお出ししたいなと思い野菜の研究を始めました。身体が喜んで元気になれるもの。祖母が毎日私に作ってくれた素朴だけれども愛情いっぱいのごはんのことを思い出しながら。
その日の朝に作ってその日のお昼にお出しする。野菜にあまり手を加えず、添加物など余計なものを入れずシンプルに野菜を料理することを心がけました。食べて体に負担をかけたくないなあと思うからです。
さらに、その季節の旬の野菜は五感に喜びを与えてくれます。またこれを食べれる季節が来たなあって自然に体が喜びます。そのままがいいというか、素の魅力というか、いつも自然体。
歳を取ってきてアンチエイジングにも興味が出てきました。どうしたら健康寿命を延ばせるのか。そう考えるとやはり薬に頼らず「医食同源」「命薬(ぬちぐすい)」という言葉が思い出されます。
しかし、決して「薬になるから」食べなさいって強制するのではなく、たまには気軽にカフェによっていただいてカフェの庭の緑を眺めながら、体にいいものを食べ、そしてギャラリーのアートにも触れていただいて、目からも口からも栄養を取っていただければなあと思っています。
ゆくゆくは森の中でピクニックに行くような感じで来てもらって、私は子供の頃のあの「おままごと」のような感じで野菜を料理してみなさんをお迎えしておもてなしできる場所ができればいいなと思っています。
ノートカフェで出会ったみなさんのおかげでこんな夢を持つことができました。みなさんに感謝しています。
ノートカフェ店主
ノートカフェには小さな庭があります。四季折々に植物たちが花を咲かせ、木陰をつくり、さまざまな表情を楽しませてくれます。
そんな小さな宇宙をながめながら、お食事やお茶の時間を過ごしていただけます。
年に数回「Note Cafe Style」として併設のギャラリー空間でノートカフェが提案する展覧会やワークショップを開催します。
これまでも写真展、みんなで葉っぱの型紙にお互いの顔を描き合い大きな木を作るワークショップ、テラリウム展、カフェ店主の描いた小さな絵の展覧会などを開催しました。